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<後編>とっとり企業フォーラム2017【特別講演「スポーツビジネスで新たな挑戦、アスリートから起業家へ」】

坂脇奈緒
2017.04.25

2017年1月26日(木)に開催されたとっとり起業フォーラムのイベントログになります。

また、本日は、為末様の素顔をよく知る海老根様にもご登壇いただきます。海老根様は、日本を代表するネット広告企業である株式会社オプトの創業メンバーで元オプトCEO、現在は、株式会社レジェンドパートナーズ会長として活躍されています。

それでは、為末様、海老根様、どうぞよろしくお願いいたします。

スランプの乗り越え方

海老根:スランプの乗り越え方を知りたいですよね。起業系統の。どうやって乗り越えるんですか。

為末:今ね、すっごいちっちゃい会社なんですけど、起業というのが恥ずかしいぐらいの会社をやっているんですけど、「やっぱ違うな」と思うのは、現役のときのスランプは自分自身で何とかできますけど、会社のスランプって、社員にも頑張ってもらわないといけない、というのはあります。

でも、現役時代のスランプにも、何とかなるものと何ともならないものがあって、何ともならないもので言うと、成長はコントロールできないですよね。自分の身長がどこまで行くかって、コントロールできないじゃないですか。その体をどう扱うかまではコントロールできても。

そういう、身長が伸びなくて困っているというスランプは、「しょうがないですね」としか言いようがないという。だけど、技術が滞っていますねというのは、「何とかしようがありますね」という。それを分けて考えるというのは、1個あると思いますかね。高校のときは、もう僕、身長が止まっちゃって、全部止まっちゃったんですよ。それで伸びどまったというのが大きかったですけどね。

スポーツビジネスの実態

海老根:今、スポーツビジネスという領域にいらっしゃるじゃないですか。スポーツビジネスって、スポーツそのものを指す場合と、スポーツ周辺のビジネスを指す場合があるじゃないですか。ぜひ、この鳥取県に参考になるように、スポーツビジネスというもの、事例か何かあるんですか。

為末:スポーツビジネスで一番大きいのは、メーカーだと思うんですね。ナイキで8兆円とかかな。ナイキ、アンダーアーマーというのが、多分、一番大きいスポーツビジネスなんですけど。その次ぐらいになってくると、多分、ジムか球団経営だと思うんですね。ジムと球団経営が来て、そのへんまでがいわゆるスポーツのビジネスの世界で。

でも、間接的には、電通とか広告代理店はスポーツビジネスに入ってくる。そういうのはいろいろあると思うんです。

世界中のトップアスリートって、ほとんど地方に住んでいるんですよ。カール・ルイスはサンタモニカというところにいたんですけど、元々はテキサスの、テキサス大学のずーっと外れにいたりとか、ウサイン・ボルトはジャマイカのキングストン。キングストンは首都だけど、世界から見ると、そんなに人住んでいなかったり。

なので、実はトップアスリートが東京にいるというのは、世界から見るといびつで、本当は地方にいるべきなんです。練習環境からするとそっちのほうがいいので。

だけど、日本の地方には世界レベルのチームがあまりなくて。ドイツはいっぱいあるんです、地方に。フランスも田舎にいっぱいあるんですけど、なぜか日本だけは、トップチームは都市部に集中していますね。

海老根:どうしてですか?

為末:それがなんでか分からない。100メートル1番のやつが鳥取にいても、全然問題ないというか、世界からするとそっちのほうが普通なんですけど、なぜかそうなっていないというのは、なんでなのかは僕も分からなくて。

でもJリーグとか、チームがあるじゃないですか。ああいうものがうまく機能していったら、トップアスリートが住んで、ちょっとはそこから産業が生まれてくるというのがある気がするんですけどね。なんか日本はなっていない感じですね。

Jリーグの一番最初のコンセプトってサッカーが一番上にあって、その下にバスケットとかいろんなスポーツがくっつくというモデルなんです。総合型地域スポーツクラブっていうんですけど。

あんまり知られていないんですけど、レアルマドリードとかって、陸上部があるんですよ。バルセロナも陸上部があって、僕らが一緒に走ってたのもブンデスリーガ。だから陸上選手もブンデスリーガがあるんです。そういう三角形のモデルになっているんですけど。日本はJリーグだけ独立してしまっていてるんです。J3のチームは何て名前なんですか。

参加者:ガイナーレ鳥取。

為末:ガイナーレ鳥取の陸上部は、今、ないですよね、多分。本当はそこにバスケ部があったりというのは、理想の形だと思うんですけど、そういうのに持っていくというのは、結構大きい方法、いい方法じゃないかという気がしますけどね。

優れた経営者と優れたアスリートの共通点

海老根:ところで、ベンチャー企業もご支援されてますよね。

為末:はい。

海老根:さっき、控室で話していたんですけれども、良い起業家と良いアスリートが、同じなのかどうかという議論をしようって言ってましたね。

為末:はい。

海老根:じゃあ、まず先行。

為末:僕が先行ですか。

海老根:良いアスリートの資質は?

為末:結構、でこぼこしているんですよ、いいアスリートって。品行方正のイメージがあるんじゃないですかね。でもやっぱり、何かにはまりやすいという選手が多い気がしていて。

例えば、内村航平くんっているじゃないですか。内村航平くんと壇上で話したことあるんですけど、話しかけたときの印象が、水の中にいる人みたいな感じなんです。

内村くんって天然も入っていると思うんですよね。「内村くん」って聞いたら、こういう感じの振り向き方をするんです。(ゆっくり海老根さんの方に振り向く)普通の人って、パッと振り向くじゃないですか。

ああいう人間って、オリンピックにいるときにも、全く周りのことが見えていなくて、競技のことしか見えないタイプ。そういうタイプはプレッシャーにつぶれないんですよ。大体、オリンピックで駄目になるタイプって、気にしすぎる人間なので、周りが見えていない人間はやっぱり強いんですよね。

長嶋さんもそうじゃないですか。周りをあんまり気にしていない。ああいう感じの人が、トップアスリートには多い気がしますね。自分の道を行ってるみたいな。

海老根:ベンチャーの経営者では、僕は基本的に、最初、質素であるとか、倹約家であるとか、たゆまぬ努力をするとか、チャレンジ精神があるとか、そういうのをすぐ挙げるんですけど。

為末:地に足着いてるっていうのはあるでしょうね。

海老根:どういう意味ですか?

為末:何て言うんですかね。本田選手の作文って見たことありますか。Facebookなんかで一時期、読まれてたんですけど。ちっちゃいときから、「僕は世界一になるんだ」って書いてあるやつなんですよ。ああいうこと書いてる選手って、ほとんどいないんですよ、オリンピアンで。ほとんどの選手って、今日問題があって、それを明日どう解決するかということばっかりやっているんですね。

だから、最初に、オリンピックで世界一になるぞということで、そういうやついっぱいあったんですけど、ほとんどのやつは。「で、今日何やるんだ」って言うと、何もやっていなかったりするんですよ。

ほとんどの人間は、日々のたゆまぬ地道な改善が苦じゃない人間が最後に残ってた気が。そもそも、ねちねち面倒くさいじゃないですか、ああいうこと。それをずっとやってるというのが多い気がしますね。

情熱があり、質素である

海老根:情熱という面ではどうなんですか。

為末:熱意ですか。

海老根:熱意。僕は情熱家なんで、経営者の情熱をまず見るタイプです。

為末:情熱あってもなくてもいいんですけど、しつこいかどうかというのはある気がしますね。「最後までやんの」って。

海老根:諦めないことですか。

為末:そうですね。それが、狂ってるぐらいの感じのほうが、やっぱりいいですね。そこまでやらないと厳しいので。「そこまでやっちゃうの」みたいな人間が、残る人、多い気がしますね。やっぱり常識的じゃなくなっちゃいますよね、そうすると。

海老根:そういう意味では、共通点はありますね。

為末:そんな感じですか。

海老根:何となく諦めないとか、しつこいとか。

為末:いろんなパターンがあると思いますけど理想の起業家ってどんな人間が出てきますか。

海老根:やっぱり夢があって、自分で努力をして、質素で、諦めないとか、あと自己顕示欲がないとか。

為末:なるほどね。その質素ってどういうポイントなんですか。

海老根:地道っていう意味ですね。悪いアスリートはどんな事例があるんですか。

為末:悪いアスリートね、言いにくいですけどね。(笑)

海老根:駄目になっちゃったアスリート、なんで駄目になったんですか?

為末:駄目になっちゃったアスリートっています。世の中って、やっぱり、上げたり沈めたりっていうのがあるんですよ。今日も朝、特ダネに出ながら、その一端を担っていると思うと、心苦しいですけど、いいときは持ち上げて、悪いときは叩くわけじゃないですか。

そういうのと、浮世離れしているアスリートは、やっぱり生き残る感じがしますね。上がるときに一緒にフラフラと上がっていったり、落ちるときに真に受けてドーンと落ちるタイプの人間は、ドーンと2、3回やられたらおしまいという感じで。

生き残る人間は、浮いているのに浮かないし、沈んでるのに沈まないみたいな。内村くんとか、僕の印象で、「ああ、こういう人間は多分、世の中と関係なく自分の道を突き進んでいる。強いんだろうな。」みたいな印象があったんですけど、そんな感じですね。

海老根:やっぱり企業経営と同じで、流れを読むとか、そういうのってあるんですか、スポーツ界では。

為末:引退して、会社をやって、違うなと思った点は、スポーツはすっごいルールが確定しているんですよ。

400メートルハードルってもう、何十年も前から、誰が置いたか分からないですが、ハードルというのを置いた人がいて、それが10台あるんですよ。このルールがずっと変わらないので、急激に横からドンとやられることがあんまりないんですよ。

 だけど、引退して会社を始めて、一番面食らったことは、最初に「これじゃないか」と思って仕事をしていたら、「五輪が東京に決まりました」って言った瞬間に、スポーツ界の方向や空気がが変わったりして、「あれ、ルールが変わっちゃうんだ」みたいな感じだった。

前の世界は、「スタートからゴールまで本気で走れ」というルールしかなかったので、そのルールが途中で変わるって考えないまま走ってたら、なるほど、次の世界はルールが変わったり、レースがレースでなくなったり、そういう世界なんだというのは、結構、驚いた点ですかね。


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