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<後編>とっとり企業フォーラム2017【特別講演「スポーツビジネスで新たな挑戦、アスリートから起業家へ」】Part3

坂脇奈緒
2017.04.25

2017年1月26日(木)に開催されたとっとり起業フォーラムのイベントログになります。

最終的にものを言うのは「やる気」

海老根:時間があと10分ぐらいなんですけど、雑談すると、アメリカのバブソン大学の調査では、これ面白くてね、事業計画書と事業の成功の良し悪しは、正の相関ではないという。結局ね、やる気であるとか、そっちのほうが重要なんじゃないですか。

為末:面白いですね。

海老根:だからアスリートの世界で「やろう」という人間を輩出することは、どうやっていくのか。それはここでもやる気のある人間、勝屋さんじゃないけど、輩出する必要があって。アスリートの世界ではどうですか、やる気発掘。

為末:やる気発掘ですね。二つあります。1個目は多分参考にならなくて。例えば、田舎で、いきなり「僕は世界に行くんだ」って信じて、ほんとにやれちゃう人間というのがいるんですよ。これは運なんですよ。そういう子がいたら、せめて、周りが邪魔しないように育ってもらいましょう、というのが多いと思います。

 二つ目は、多分一番近いのは、急に強くなったり、そこから妙にトップ選手が輩出されるというチームだと思うんです。こういうチームは、じゃあどんな練習しているんですかって言うと、練習メニューは、あまりほかのチームと相違がないんですよ。

 トップに行ける練習メニューはあるんですかって言うと、実は、これあんまりなかったりするんです。何が一番あるんですかって言うと、「空気」です。

海老根:「空気」?

為末:「空気」。要は、みんな日本一になりますよね、みたいなのが当たり前の「空気」になると、みんなそんな気分になっちゃう。

海老根:起業するのは当たり前だよね、この「空気」は、みたいな?

為末:そう、そういう「空気」ですね。そっちのほうが、正しい方法を学ぶとかよりもよっぽど影響しているんですよね。強いチームのコーチほど、具体的な話よりも、遠くからチームを見ていて、「空気」を操るみたいな手法が多いんですよ。特に、人数が多いチームを率いるときは尚更です。

 だから、夢よりも、何を当たり前にしているかということのほうが、人の行動に影響を与えている。当たり前のほうが日々の行動に影響を与えるじゃないですか。

海老根:すごく重要だと思う。

為末:事業計画って夢っぽいじゃないですか。でも、重要なのは、今日何をするか。

海老根:関係ないよね、事業計画なんて。

為末:僕はあんまりその世界分かってないのであれですけど、「空気」が相当に影響している気がするんですよね。

海老根:じゃあ、起業したらかっこいいみたいな「空気」と。でも実際、アスリートの世界でも、光ってるやつがいると、みんな燃えたりするものなんでしょ?

為末:そうですね、それはあります。

海老根:ということは、「空気」と一緒に、成功した人が光っていればいいんだよね、起業家で。

これからは「空気」をつくる人材が必要

為末:いいですか、ちょっとややこしい話していいですか、時間ないときに。心理学の実験で、映画館で、おじいちゃんがたくさん出てる映画と、子どもがたくさん出てる映画を見るっていう実験があるんです。これで、見た後に「どんな気分になりましたか?」というアンケートをとるんですね。

でも、実際にはアンケートをとっているんじゃなくて、映画館を出ていくまでの歩行の速度をとっているんです。で、これ見事に、おじいちゃんの映画を見た人のほうが歩くスピード遅くなるんです。

で、これが繰り返されると、体に染み込むと言われていて、何が言いたいかというと、自分の行動というのは、結構周辺に影響されてるんですよね。一方で自分の行動を変えたりとか人の行動を変えるというのも同じです。

海老根:いい事例ですね。

為末:強いチームは、全部やるというのは難しいんですけど、どっかで加速させると勝手にそういう「空気」ができていくというのをやっているんです。スラムダンクで言うと、桜木花道なんですけど、そういう役割の人間も大事だと思うんです。成功しなくても、「空気」をつくる人間ってすごく大事じゃないですか。

海老根:失敗している人でも起業してよかったという「空気」も重要だと思いますよ、それは。アスリートでは花咲かなかったけど、俺はアスリートで良かったと、そういう「空気」も重要だし。

為末:そうですね。チャレンジが当たり前になる「空気」というのが。回数じゃないですか、結構。だから、たくさん玉を打てるような「空気」になるっていうのは、大事という気がしますけどね。

ビーチサッカーを普及させるには

海老根:ありがとうございます。あと、時間が5分ちょっとなので、会場の方から為末さんにご質問ある方。

参加者B:私は「すなばスポーツ」という団体をしています、岸本といいます。砂の上でビーチサッカーという競技があるんですけど、それがJFAで動くことになりまして、そこにプロ化していくチームをつくったり、それから、スタジアムを買って、世界の聖地にしていきたい。そして、ドバイが世界の聖地だったりするんですけど、そういうのに響くような思いを作りたいと思っています。例えば、為末さん、陸上の方なので、砂の上を走るということに関して、どういうふうに考えられていますか。

為末:ありがとうございます。どのぐらいまでマニアックな答えにしようか、今考えているんですけど、ちなみにビーチオリンピックみたいな動き、ありますよね。

参加者B:はい、そうですね。アジアビーチゲームズという。この5月のゴールデンウィークに、お台場でジャパンビーチゲームズというのが初めて開催されるんです。

海老根:いいんじゃない。

為末:結構多いんですよ、今、ビーチ系のもの。僕は砂浜の上のダッシュってよくやっていたんですよ。で、マニアックな話、しますけど、物体が地面から反発するときに、この下の硬さ。ゴルフボールって、コンと跳ね返ってくるじゃないですか。でも砂の上では跳ね返ってこないじゃないですか。

人間の足を引き上げる力の結構大きなものって、地面からもらっているんですよ。それが一回相殺されるということになって、自分の力で引き上げないといけないんですよ。そうするときに、腸腰筋(腹筋の内部にあるその筋肉)を使わざるをえなくなるんですけど、この腸腰筋の太さと走速度が、一番相関があると言われている筋肉なんですね。

なので、ジャマイカのチームとかも、ビーチで走ったりしているんですね。で、長い距離はちょっと向いていないんですけど、30メートルぐらいの砂浜のダッシュというのは、速度の向上にすごい相関があるというふうに思って練習していました。

諦めの判断軸

海老根:次の方。後ろの方からいきましょうか。

参加者C:ご講演ありがとうございます。株式会社アクシスという会社で、地方創生事業の担当をしております、カジオカといいます。

為末さんに質問なんですけど、本を出していると思いまして、「諦める力」ですね。私、一回、転職で今の会社にいるんですけれども。

世間ではよく、諦めないことが大事と言われていると思うのですが、私は前の会社を諦めたことで、今やりたいことを結構やっているんですね。その判断基準をもう一度、為末さんからお聞きしたいなと思いまして。

為末:コンマリさんは、ときめくかどうかって言ってるんですけど、僕は、そういう本を書いたんですよ。この間、中学生が来て、「あの本読んで、僕もこの道はないなと思って諦めました」と。「お前、ちょっと早いよ。」っていうのがあったんですけど。

何を言おうとしているかというと、総量って増やせないじゃないですか、そんなに。24時間以上は。それを何に投下するかっていう話だと思うんですね。

そのときに、もちろん、いろんな道はあると思うんですけど、1カ所に投下しているほうがやっぱり成功率が高いと思うんですね。

もう一方で、ある程度投下したけど、あんまりうまくいかなかったなということは、芽がないと思うんですけど、「それ、いつやめるんですか」という、そんな感じの話だと思うんですね。

判断基準をどうするかというのは、いろいろ込み入ってて、難しい気がするんですけど、僕は、それを自分がやると勝てそうか、と言うとシンプルなんですけど、いつもそれを考えますね。

人によって違うと思います。好きなことやったほうがいいという人もいると思うんです。僕の場合は、僕がそれをやると「どれぐらい勝率が高いか」と「自分って何なんだ」ということをセットに考えてますね。

海老根:サブタイトルに、「耐える人生か。選ぶ人生か。」って書いてある。

為末:そうですね。耐えるの大事だと思うんですけど、選んで耐えましょうっていうだけなんですね。一番、スポーツの場合で、よく選手でいたりするんですけど、お父さんとお母さんがバレーが好きだった、で、バレーを始めて、二十何歳までやったんだけど、「頑張れ、頑張れ」で頑張ってきたんですけど、僕は何のために頑張っているでしょうかって、結構いるんです、こういう選手。

どっかのタイミングで、僕がバレーをやるんだって選べば。別にバレー辞めなくたっていいんです、僕がやるんだって選べばいいんですけど。自分がなんでこの人生を生きてるか分からないまま耐えるということの弊害は、結構大きいと思うんです。

選べないんですよ、人生は。難しいじゃないですか、大学だって選べないし、生まれてくるところも選べないし。

だけど、自分にはこれしかないんだ、ぐいっと、能動的に乗り込んだ瞬間に、人生の生き方って変わると思うんです。それを、せめてやりましょう、というイメージなんですけど。

参加者C:ありがとうございます。

為末:もし興味がある方、読んでいただけると。10パーセントは僕に入るので。タレント事務所じゃないですね。(笑)

空気感をつくるためにできること

参加者D:さっきの「空気」をつくるというお話なんですけど、私、県外から来て、鳥取の方にすごい特徴的だなと思うのは、すごくミーハーな方が多いというか。

海老根:ミーハー?

参加者:そうなんです。休日はみんなイオンに行くんですよね。

海老根:休日にイオンに行くのがミーハーなの?

参加者D:そうなんです、スタバができたらスタバに。スタバがすごい混んでるとか。この前も警備員さんがつくぐらい混んでいるんですね。

地域に起業されている他の飲食店さんとかでも、こだわってる面白いことされている方、たくさんいらっしゃるんですけど、結構難しいと言われる方が多くて、入れ替わりがやっぱりあったりするみたいなんです。

そういう「空気」をつくっていくというのは、どうしたらいいのかなと思って、私の課題でもあるんですけど。

海老根:難しい質問ですね。

為末:1つ、今、単にそう思われていると思うんですけど、謙虚さの先に行っている気がするんです。自分たちが持っているものは大したことないと思っていませんか。そこの逆転がうまく起きるといいなという気はします。

ニセコのおじいちゃんとかが、急に、「ニセコっていうのは昔からこうでね」とか言ってるんですよ。ちょっと前まで、「ニセコなんてね」って言ってたのに、「ニセコっていうのはねー」みたいになってて。

多分、そういうのがたまたまニセコはあって、たまたま鳥取には今はまだないというだけのような気がする。それも「空気」ですかね。そういう反転がうまく起きるといいですね。

海老根:最初、作為的にやらないといけないけど、ある一点の山を越えたら、グーッとくると思うんですよ。だから僕、個人的には、人口が少ない県じゃないですか。ほんとに創業率とかでは1位目指せるんじゃないかなと思って。

かっこいいよね。「人口が少ない県です。でも、創業率は1位です」って。僕は思ってます。だから呼ばれればまた来ます。

海老根:じゃあ、最後に為末さん。鳥取からお声がかかったら、また来ていただけますよね。

為末:いいとも。

(会場拍手)

海老根:ありがとうございました。

司会者:ありがとうございました。今一度盛大な拍手をお願いいたします。

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後半Part2:こちら

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