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ヘレナと智恵子が語り合う「今こそローカリゼーション」

鳥谷部愛(Field of Wings代表)
2017.11.20

2017年11月14日(火)に一般財団法人22世紀に残すもの主催で行われた「ヘレナと智恵子が語り合う”今こそローカリゼーション”」第一部:ヘレナの基調講演書き起こし。 私たち人類すべてが、そして地球全体がしあわせになるために、自然と、他の人と繋がり直しましょう、という力強いメッセージです。(書き起こし:福田恵美さん)

ヘレナと智恵子が語り合う「今こそローカリゼーション」

第一部:ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ基調講演

未来へむけて希望のあるメッセージ、それを私たちは「しあわせの経済学」とよんでいます。基本的には「自然と、他の人とつながり直すこと」です。そのためにローカリゼーションが必要です。ほとんどの社会的、環境的な問題の解決に繋がる方法だと思います。

●世界中で草の根運動がおこっている

世界中の草の根の人つながるというビッグピクチャー(全体像)が大事です。
主流なメディアは、様々な危機を本来のものとは別なものに見せています。曰く、人間の貪欲さによりどんどん消費していくからこうなるんだ、また経済システムは進歩進化していてこの道以外にない、というふうに。でも一歩引いて全体を見てみると、必ずしもそうでもないということがわかってきます。
銀行や大企業が事実上の政府として機能しています。そこで働く人がいい人、悪い人という問題ではありません。理解しなくてはならないのは、あまりにビジネスがグローバル化されたため、民主的なことや環境が尊重されなくなってしまったことです。大きな銀行や企業がつながることでできた事実上の政府が、各国政府にプレッシャーを掛け、更に危機を破壊に向かうような方向に押しやっているということです。
基本的には大企業ビジネスはエネルギーを消費し、技術集約型で、天然資源を大量に使い、雇用を減らすという問題があります。巨大化するグローバル企業はダイバーシティ(生物的&文化的多様性)を軽視し、自然と人の尊厳をなくしています。世界中で、今、多くの人が根本的なシステムの変化が必要と気づき始めています。世界中で起きているムーブメントをご紹介します。

1)中国のルーラル・リコンストラクション・ムーブメントは、村落を再構築する運動ですが、ほとんど世界では知られていません。システム変革を求めるムーブメントはなかなか知られないのです。ここでは都市化を止めようとしています。
2)ラ・ヴィア・カンペシーナもla Via Campesina素晴らしい運動ですが、知られていません。1992年にスタートした、3億人の小作農者がつながっている世界最大級のムーブメントです。グローバルレベルの自由貿易が自然を破壊していることに意識を向けさせようとしています。グルーバルなメディアはこうしたポジティブな動きについて伝えないので、心ある人々はこれ以上世界は変わらないと思ってしまいますが、実はこんな風にムーブメントはおこっているんです。
3)ニューエコノミームーブメントはアメリカとイギリスで主に始まっています。そこでは、経済学者や環境保護組織が、経済制度が変わらないと気候変動や貧困問題は解決できませんよと訴えています。
4)トランジションタウンやエコビレッジなどの草の根の運動も盛んになってきています。国際的にはいろんな変化変容がはじまっているのです、
5)五つ星運動はイタリアの政治運動ですが、これもイタリア国外では知っている人はあまり多くありません。メディアが報道しないからです。6年前に起こって、今やイタリアの野党第一党です。政治を大企業から人々の手に取り戻そうとしています。草の根で6年かけて力をつけ、国会では30%の議席を獲得、銀全員が給与の半分をマイクロクレジット銀行に入れて融資をさせています。創始者のペッペ・グリッロはコメディアンですが(政府批判のブログが人気を博して、こうした活動になったということです)
ローマ市長は38歳の女性、元弁護士ですが、「ローマにオリンピックはいりません」と宣言しました。だって、1960年代のオリンピックの負債をまだ払い続けているんですから、これ以上オリンピックはいりません、と言ったんです。
主流のメディア(大企業メディア)は、五つ星運動に対してネガティブな報道をし、ファシストだの左翼だといいますが、この6年間で支持は減っていません。
こうしたムーブメントから、システム的変革を学びましょう。政策を変える鍵を探しましょう。

●自由貿易のこわさ

政府がどんな課税、規制、助成をするかで、その政府の方向がわかります。今、ほとんどの国の政府は個人やローカルや地域的企業への課税を厳しくし、そのお金でグローバル企業の補助をしてビジネスをしやすくしています。自由貿易という名のもとに規制緩和をし、大企業が活動しやすくしています。
ISDS条項をご存知ですか?これは自由貿易協定の中に入っています。投資家と国家の紛争解決条項ですが、企業の利益を阻むなら国家を訴えてもいい、というとんでもない条項です。たとえばスェーデンの会社は37億ユーロでドイツを訴えています。これはフクシマの後、ドイツが原発廃止をする決定をしたため、ドイツがその企業の利益を損なうという訴えです。でもこれは、その企業のトップが悪人だから、ということではありません。あまりに巨大化したために、先が見えないのです。政府の中の人々も、自由貿易協定がどんなことを引き起こすのか、想像できないでいるのです。

●企業ルールが気候変動を引き起こしています。

規制緩和の結果、おかしなことが起こっています。たとえば、イギリスでは、11億トンの牛肉が輸出され、同じくらいの牛肉が輸入されています。エネルギーの無駄です。牛乳も同じように、輸出入の量がほぼ同じです。そして、さらに増大しつつあります。
狂気の沙汰と言えるでしょう。でもこうしたことが放置されているために、気候変動やCO2排出は悪化の一途を辿っています。そして、普通の市民の生活が、制限されていくのです。
私は自信を持っていえます。こうした事実を多くの人が知れば、大きな力になっていくでしょう。輸出入が同じ量ということを変えられたら、CO2排出は劇的に変化するでしょう。

●もうひとつ、グローバルな金融システムの問題があります。
2008年の金融危機以降、世界的には明らかになったはずなのに、未だに投機的カジノ的な金融が伸びています。というのも、銀行が、規制の厳しい所を逃れて他国に移動する、あるいは移動すると表明するからです。

●もう一つのクレイジーな事態は、GDPが物差しになり続けていることです。
GDPは進歩の物差しとされていますが、じつは商業度合いの物差しに過ぎません。例えば環境的に大きな問題が起こると(フクシマのような)、浄化の費用がかかるのでGDPはその分アップしてしまいます。GDPが増大するに連れ、世界中で多くの人が貧しくなっているという現象があります。私の友人ジュリアという経済学者は『働きすぎのアメリカ人』という本をかきました。1960年代から1990年代の労働者を比較しています。これによれば、同じ地位を保つには、1990年代の労働者は1ヶ月多く働く必要があるのです!
多くの中流階級の人達が、今の職に残り続けるには長時間働かなくてはならないのです。これは社会のシステムの問題で、職の安定は社会的に大きな問題となります。うつや不安感が社会に蔓延しています。自殺は職の不安定のストレスで起こります。特に若い人には多いです。そして、そうなってしまったら、親が自分を責めることになり、これは世界的に大きな問題になっています。悲しいことに、私の故国のスカンジナビア、そして比較的伝統的な社会でも同様です。

●もう一つリンクしていることは、生活、アイデンティティ、文化の破壊ということです。
人々からアイデンティティをとってしまうと、暴力につながります。家族へ、コミュニティへ、更に外への暴力です。暴力の先には戦争があります。戦争産業がGDPを押し上げるのです。戦争と軍需産業から気候変動まで全てはつながっています。

●昔に戻るのではない、
新しい方法

巨大なプロパガンダで言われていることは、ロボットが知的で懸命で親切な存在になるということです、でも私たちは一歩踏みとどまって、一歩下がって物事を見てみなくてはなりません。5歳の子供でもわかることですが、機械化が進むほうが仕事が増える、と言うのは本来おかしいのですが、現実にはそういうことが起こっています。
小さなチベットと言われたラダックに住むことで、経済システムをビッグピクチャー(全体像)で見ることを余儀なくされました。ここでは長い間、近代的経済的システムから影響を受けることなく人々は暮らしていました。親密なコミュニティと相互のしっかりした関係性がありました。生活レベルは高く、家もその地域の気候に合わせ地域の素材と技術で作られていて、とても素敵でした。
ただ、私がいいたいのは、昔に、伝統的生活に戻ろうということではありません。
しあわせを支える構造を学び、取り戻しましょう、ということです。
ラダックで、私はこんなに喜ばしく生命力に溢れた人々を見たことがないと思いました。何年も一緒に暮らしましたが、子どもたちは安心して愛されて尊重されて育っていました。幸せな人達というだけではなく、度量の大きなリラックスした平和な人々でした。40年ラダックと付き合ってきて、今も一年の内しばらくは滞在します。一年の半分を過ごしていた時に『ラダック 懐かしい未来』という本をかきました。
ラダックで感じ取ったのは、昔ながらの生活に戻るということではなく、近代技術を持ちながらも、原理的には昔ながらの構造を持ち続ける必要があるということです。

●エコリテラシー

共存すること、世代間が交わることの大切さ、エコロジカルは多様性を維持すること、そういうことです。
ローカル経済にシフトすることを理解するために、ビッグピクチャーアクティビズムをはじめました。
私たちは広い視野に経って集めた情報を広げていく必要があります。
中心的考え方はエコリテラシーです。経済と環境の両方を理解すること、でもそのために大学で学ぶ必要はありません。草の根の組織やオルタナティブな機関が出している情報をサーチすれば情報は得られ、リテラシーを高めることが出来ます。
ローカルフューチャーでは、草の根の情報を提供しています。その際、他人とつながっていること、私→私達への移行が重要です。
人々と、自然とつながること。先程も話しましたが、そのための新しいイニシアチブが世界中に出てきています、それによって、依存症の人たちの回復や犯罪者の社会復帰、癒やしにつながっています。
こうしたイニシアチブは、日々世界中で増えており、そうした情報を手に入れていくと、だんだんこうした話が受け入れられるようになってきます。

●ローカルフード経済

ローカリゼーションの中心には、食べ物のイニシアチブがあります。
ラ・ヴィア・カンペシーナは3億人の小さな農家のつながりだと話しましたが、そんなイニシアチブが私達の行くべき方向を示唆しています。
土地の多様性も重要です。そして、距離を短くすることが大事です。農家からマーケット、マーケットから消費者、その距離を縮めていきましょう。
ローカルフューチャーという団体は、そのサポートも記録もしています。

あまりに多くのイニシアチブが起きていて、記録しきれないほどです。主流のメディアや政府や企業から支援されることなしに、ローカル、地産地消の経済を動かし始めています。
明確なエビデンスもでてきており、国連がローカルの支援について小さな農家がローカルフード経済を成立させている事例も研究しています。
こうしたニューイニシアチブが更に盛んになるには、ビッグピクチャーアクティビズムを皆が支援する必要があります。
社会的メリットもたくさんあります。スーパーマーケットよりファーマーズマーケットで買い物するほうが、10分も会話が余計で、健全なコミュニティが作られていきます。
社会コミュニティが健全であるために、ファーマーズマーケットは必要なのです。
エコロジカルであることと長距離輸送は相反します。モノカルチャー=単一栽培であるほうが、距離は長くなります。マーケットと生産者の距離は、特に第一次産業、農林水産業では大事なポイントになります、生物多様性のためにも、ローカルフード経済(短距離経済)が大事です。
最も重要なのは、大地、海、水から自然な恵みを貰う場合、多様性が決定的な要素になります。モノカルチャーは自然を破壊し汚染につながります。
ローカルフード経済のシステムは、その地域の小さなビジネスを支えます。こうした動きも急速に進んでいます。
これは限られた予算でのリサーチ結果ですが、ローカル経済の人からものを買うと地域経済を豊かにするという結果が出ています。

●ローカル経済、まとめに

ローカル経済のために地域でファンドを募るにはいくつかのテクニックがあります。

まずは何人か集まって基金を募り、そこからローカルな仕事を生む、場所によっては数百ドルを数人で集めただけでローカルなビジネスをスタートしている例も出てきています。

こうしたイニシアチブは地方のみならず都会でも起きています。都会の中でのローカルコミュニティ、ローカルビジネスを作って行く方向にシフトが起きています。

リサーチをしてみればわかるとおり、中央集権型ではなく地域型の再生エネルギーイニシアチブも起こってきています。

ローカリゼーションムーブメントが盛んになる事で、参加する人もふえ、音楽や踊りなどの文化的なこともおこっています。受動的な消費者型文化を離れ、参加型の豊かな文化が広がっているのです。

ローカリゼーションに参加することにより、喜びのある人生が実現していきます。

みなさんもぜひローカリゼーションムーブメントに参加してほしい、これがグローバルなムーブメントなのです。

個人の内面的なメリット利益だけではなく、地球にとって政治的にもメリットのあるムーブメントです。是非一緒にやっていきましょう。

ありがとう。


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