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第1回 武蔵野大学 幸せフォーラム 「ブータンの賢者に学ぶ幸せの実践学」

鳥谷部愛(Field of Wings代表)
2017.12.04

2017年11月13日(月)13-15時に武蔵野大学で行われた第1回幸せフォーラム「ブータンの賢者に学ぶ幸せの実践学」でのネテン・ザンモさんの講演内容です。(書き起し:NPO法人セブン・ジェネレーションズ俵山美絵)

参照動画:https://twitcasting.tv/tawamie/movie/418689822

ネテン・ザンモさん

GNH(国民総幸福量)を政策の中心に据えた国づくりをしているブータンにて、政府の汚職防止委員会の委員長をしていた。

 おはようございます。学長様、参加者の皆様。希望の日の出ですね。世界平和や世界の幸福に対してこのような大きなミッション(※武蔵野大学は「世界の幸せを形にする」というミッションを掲げている。)を持っている素晴らしい大学におよびいただき、私と私の仏教徒の兄弟であるツェリン・ドルジ二人とも大変光栄に思っています。

 この大学の掲げているミッションは平和や幸福を地域や日本のみならず、世界全体で達成しようというの考えは、いかに広い視野を持っているかを表してると思います。私はここでいくつかのCの頭文字の言葉を紹介します。1. Care(想う・大切にする) 2. Concern(思慮・考える) 4. Conviction(信念) 3. Commitment(コミットメント)これらのCが大変重要と思っています。この大学全体でこのような素晴らしい考えを持っている、ということは世界に対して素晴らしいギフトだと考えます。それに対して心からお礼を申し上げたい。ありがとうございます。

先ほど、明石先生もおっしゃったように、私達が一方的に話すのではなく、相互に交流のできる時間というのも、後程持ちたいと思います。それは、私達がこの分野のエキスパートだという立場で上からものを言うということではなく、幸福学という分野では中心と思われているブータンから何か携えてきたものを、このような素晴らしい大学で皆様とともにシェアしていきたいという思いがあるからなんです。

 皆さん、ブータンがどこか知っていますか?知っているといいのですが。ブータンは世界地図では小さな点でしかありません。この大学と同じようにブータンでも幸福を重要視すると決断したわけです。これからブータンの写真をお見せします。いつの日か皆さんもブータンに来てくださいね。これはタイガーズネスト(虎の巣と呼ばれる聖地)です。高い山の上にある仏教徒のための聖地です。(ブータンの人々の写真を紹介しながら)ハッピーピープルです。(ブータンの国王の戴冠式の写真)私たちの王です。4世が5世に戴冠式を行っている写真です。私は、これまであまり目を向けられなかったような新しいビジョンを開拓するには、大きな知恵と勇気が必要と考えます。ブータン国王4世は51歳の時に退位しました。彼にとって、重要なのは自分の地位や権力ではなく、国民の幸福というものだったわけです。開発におけるGDPモデルというのは、搾取や、競争社会に基づく、思慮にかけた開発だと認識できるでしょう。自然環境を開発における全体像の一部と考慮することなく、自然からの搾取を続けてきました。一般的な経済のGDPという眼鏡で見る成功とは、力やお金や職歴、どれだけ裕福か、どれだけ力があるか、ということに終始します。GDPのモデルで一体何ができたのでしょうか?世界の20%が政界の80%を搾取しているという構図がよく知られています。貧富の差が大きく、富裕層が貧困層からの搾取をし続けている状況です。また、地球の自然環境にも大きな負荷をかけています。

 ブータン国王4世はたった16歳の時に戴冠しました。父王が崩御されたときに、先王はまだ16歳という若さだったのです。国王がその主義(人生観)を尋ねられた時に言ったのが「GNH=Gross National Happiness(国民総幸福量)がGNPを上回ること」、というものでした。GNHの中核をなすものは関係性です。人間同士の関係性、政府と国民との関係性、自然と人間との関係性などを示します。ブータンはごらんのとおり大変小さな国なので、国民にとって最も重要なのは自立(独立独行)や将来を自分で確立することです。これらを実現するために、環境を破壊せずに開発も実施し、幸福を実現する、包括的なパッケージが必要で、そのためにGNHには以下のような大きな4本柱があります。

(※ここで講演におけるスライドにはGNHの4本柱が表示されているが、ネテン氏は詳細について割愛したので、参考までにブータン政府観光局HPのGNHについての記述を引用する。:GNHの4つの柱とは1.公正で公平な社会経済の発達、2.文化的、精神的な遺産の保存、促進、3.環境保護、4.しっかりとした統治(Governance)

出典:

http://www.travel-to-bhutan.jp/about_bhutan/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%B7%8F%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E9%87%8F)

 ブータンは国土の72%が森林で、この割合は減らずにむしろ増えています。ブータンの憲法にもうたわている内容であるが、国を挙げて永続的に国土の60%以上の森林を維持すること、とある。このような小さな国でユニークなアイデンティティが、文化に対しても、社会に対しても大きな価値を見い出しています。

 持続可能な経済をどのように発展させていくか、ということに関しては、中央の企画部門があり、ここがその役割を担っています。政府で提案されるすべての新しい法案も政策もGNHの規格・概念に沿っていなくてはなりません。また、この企画部門により、GNHというツールが、より社会にとって有益なものなのか、という検証がなされます。また、国民に対してのGNHに関するサーベイランスも行われます。私はこの分野の専門家ではないので、詳細の説明は割愛しますが、GNHには大きな4つの柱と、それぞれ9つの分野があります。GNHの4本目の柱で、私も重要と思うことの一つは、Governance(統治、政治、管理)です。2008年までブータンは君主制であったが、1981年、中央集権でない動きに変化し始めていました。その後2008年政府が立ち上がり、国会ができ、政策が国会で議論されるようになりました。他国では、民主制とは人民がデモを行うこと等によって勝ち取ってきたのではないでしょうか。しかしブータンでは国王自らが民主制が重要と説き、権力を国民に明け渡したというとてもユニークな経緯があります。このような話をすると、ブータンはまるで理想郷(シャングリラ)ではないか、と思われるかもしれないが、決してそうではありません。幸福を語るとき、どのように幸福の価値観を作り上げるか、民主制になって歴史も浅く、若い世代を多く抱える国として、今なお、大きな挑戦をしています。国が開かれたとたんになだれ込んでくる新しいシステムや情報、SNSなど、課題も山積みです。ほかの国と同様、ブータンも似通った課題を持っています。なので、私が「ブータンにも汚職がある」と言っても椅子から転げ落ちないでくださいね。先日もある人から、幸福の国で汚職があるなんて信じられない、と言われたばかりです。ありがとうございました。

 最後に、2歳の時のブータン国王5世の写真を紹介します。とてもかわいいですね。

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